スタートアップやベンチャー界隈で、リーンスタートアップが浸透し始めて約10年。
最近では、「リーンスタートアップ 時代遅れ」や「リーンスタートアップ デメリット」
などがサジェストに表示されるようになってきました。
以前はあんなにもてはやされていたのに、なぜ今はネガティブな意見が多いのか?
今回は10年前のリーンスタートアップと今日のを比較して、なぜ時代遅れと言われているのか、そして実際リーンスタートアップは時代遅れなのかについて解説していきます。
四つのステップから成り立つ、起業する際の方法論のことです。
自分たちが想定した顧客、その顧客が抱えるニーズ、そのニーズを満たすようなサービスやプロダクトとはなにか?について仮説を立てます。
その仮説をもとに、なるべくコストをかけずにサービスやプロダクトを作成します。
この段階でのサービスやプロダクトをMVP(Minimum viable product)実用最小限の製品
と呼びます。
「構築」の段階で作成した、MVPをアーリーアダプターに実際に使ってもらいます。
アーリーアダプター(Early adopter)とは初期採用者という意味で、自らプロダクトについて興味をもち情報収集をするような、流行に敏感な人を指します。
例えばゲームが発売される際に、先行体験版に申し込むような人たちです。
そしてアーリーアダプターの反応をしっかりと確認します。
「計測」の段階で集めた、アーリーアダプターの反応や意見を元にMVPの改善をします。
「計測」の結果、そもそもの仮説が間違っていた。
そんな場合は仮説自体を変え、それに応じてMVPも作り直す必要があります。
そのことをピボットすると言います。
基本的には、上の「構築」「計測」「学習」の三つの工程を1セットとし、
完成まで何度も繰り返します。
これがリーンスタートアップです。
そもそもリーンスタートアップは2008年に提唱され、2011年にアメリカでエリックリース著「The Lean Startup」が刊行されて広く支持されるようになりました。
今まで、リーンスタートアップが提唱される前では、ウォーターフォール的な事業計画が立てられることがほとんどでした。
そこでアジャイル的な臨機応変に事業内容を変えることのできるリーンスタートアップに注目が集まりました。
リーンスタートアップが支持され始めて10年、日本ではベンチャーやスタートアップを中心に活用されています。
しかし、伝統的な大企業ではまだまだ浸透しているとはいえません。
そんな中、2020年頃からベンチャー、スタートアップ界隈でも「リーンスタートアップって時代遅れだよね。」とささやかれ始めました。
リーンスタートアップが時代遅れといわれる背景には、ここ10年で訪れた大きな変化が関係しています。
それはSNSの普及です。
近年では、日本人のほとんどがSNSを活用しています。
それがリーンスタートアップには逆風だというのが、リーンスタートアップ否定派の意見です。
リーンスタートアップでは「計測」、消費者からの評価やレビューを受け取るという工程があります。
そこで、MVPが消費者にとって好ましくないものだったらどうなるでしょうか?
これだけSNSが普及した世の中で、悪評がすぐに広まってしまいます。
その結果、ある種そのプロダクトがデジタルタトゥー的に残ってしまい、そのプロダクトのブランドイメージも損なわれ、
次の「計測」ではまったくデータがとれないなんてことも発生するかもしれません。
つまりMVP(実用最小限の製品)を一旦リリースするというのが、今の世の中では悪手であるということです。
結論、時代遅れではありません。
確かに個人の消費者へ向けたサービスには合わないケースがあります。
しかし、現在でもリーンスタートアップは対法人へのサービスにはもちろん、対個人へのサービスにも活用することができます。
そもそもSNSの普及によってMVPが時代に合わないとのことでしたが、むしろMVPこそ時代に合っていると言えます。
「計測」において、SNSを用いればより素早く手軽に多くのレビューを受け取ることができますし、その段階で消費者に受け入れられなくとも、「学習」「構築」をクリアした後のMVPは、より消費者に好ましいものになっているはずで、悪評が出回ったとしても、良い意見も出回るはずです。
したがって、SNSで消費者からの悪評が出回ってしまうことは、リーンスタートアップを完全に否定できる理由にはなりません。
事実、現在も数多くのベンチャーやスタートアップがリーンスタートアップを活用していますし、大企業も新規事業を立ち上げる際には、リーンスタートアップやアジャイルを活用する事例があります。
今回はなぜ、リーンスタートアップが時代遅れといわれているのかについてまとめました。
リーンスタートアップはたしかに今の時代に合わない要素もありますが、むしろ今の時代に合っている要素もたくさんあります。
現在も数多くの中小ベンチャー企業で活用されていますし、大企業でも新しく事業を立ち上げる際に活用されることが増えてきています。
時代遅れといわれる理由と良いとされる理由の二つを理解することで、自社でリーンスタートアップを採用するべきなのか否か、正しい選択ができるのではないでしょうか。
リーンスタートアップのデメリット、メリットを解説した記事はこちら
→図でわかる!リーンスタートアップのデメリット、メリットとは!?